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取消訴訟 ③ 【原告適格】

みなさんこんばんは、Sugar珈琲です。

 

 

原告適格(行訴法9条)

第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

 

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原告適格とは、個別の事件において訴訟を提起する資格のこと。この原告適格は、「法律上の利益を有する者」に限り認められる。

 

「法律上の利益」‥‥その処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのあるものをいう。

 

 

平成16年の行政事件訴訟法の改正により、9条2項が新設され、処分の相手方以外の者について「法律上の利益」を有するか否かを判断する際の考慮事項が明示された。

これは取消訴訟原告適格適用範囲を拡大するために、新設されたものである。

 

 

 

〈考慮事項〉

「当該処分・裁決の根拠法令の趣旨・目的」

→根拠法令の趣旨・目的を考慮するにあたっては、当該法令と目的を共通する根拠法令があるときは、その趣旨・目的をも参酌する

 

「当該処分において考慮されるべき利益の内容・性質」

→当該利益の内容・性質を考慮するにあたっては、当該処分・裁決が根拠法令に違反してなされた場合に害される利益の内容・性質、これが害される態様・程度をも勘案する

 

 

 

・重要判例

小田急高架訴訟最大判平17.12.7)

場外車券発売施設設置許可と原告適格最判平21.10.15)

 

 

 

 

原告適格に関する判例まとめ(〇:認められる/✕:認められない)

‣営業上の利益

 ✕:質屋の営業許可処分【既存の質屋業者】(最判昭34.8.18)

 〇:公衆浴場の営業許可処分【既存の公衆浴場業者】(最判昭37.8.18)

 

‣文化的利益

 ✕:史跡指定解除処分【学術研究者】(最判平1.6.20)

 

‣消費者利益

 ✕:ジュースの表示規約の認定【一般消費者】(最判昭53.3.14)

 ✕:特急料金認可【特別急行旅客列車の利用者】(最判平1.4.13)

 

‣生命・身体の安全や健康上の利益

 〇:林地開発許可【生命・身体等に直接的な被害を受けることが予想される範囲の建

   築物の居住者】(最判平13.3.28)

 〇:総合設計許可【建築物の倒壊・炎上等により直接的な被害を受けることが予想さ

   れる範囲の建築物の居住者】(最判平14.1.22)

 〇:総合設計許可【建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物の居住者】(最

   判平14.3.28)

 〇:定期航空運送事業免許【航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けるこ

   ととなる飛行場周辺住民】(最判平1.2.17)

 〇:都市計画事業認可【健康・生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれの

   ある事業地の周辺住民】(最大判平17.12.7)

 

‣善良な風俗等の居住環境上の利益

 ✕:風俗営業許可【風俗営業制限地域に居住する者】(最判平10.12.17)

 〇:場外車券発売施設設置許可【当該施設の設置、運営により保健衛生上著しい詞章

   を超す恐れがあると位置的に認められる区域内の医療施設開発者】(最判

   21.10.15)

 ✕:場外車券発売施設設置許可【当該施設の周辺住民】(同判例

 

 

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